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哲学マンガ「オムレット」作者のブログ
by hirumas-omelet
下村誠の死
2006年12月6日、ミュージシャンの下村誠さんが亡くなった。
あと数日で52歳の誕生日だったということ。

ちょうどこのブログでは前々回のエントリーで、GUという雑誌について触れたが、その雑誌をつくるきっかけの一つが、下村さんであった。創刊号は下村誠を特集し、その知られざる音楽をいろいろな角度からとりあげた。結局、その時以上に多くの人に知られるということもなく、音楽アーティストとしての下村誠は死んでしまったわけだが、彼の創造した幾多の楽曲のすばらしさ、当時の彼の周囲にいた(主に)インディーズのミュージシャンたちの活動の歴史、またその中での彼のポジションの特異さ、重要さ、といったものを語り継ぐという意味で、今も(というか今や)非常に貴重な資料であると思う。

今回、この雑誌を共同で発行していた鈴木貴士さんからのメールで、下村さんの死を知った。
驚きというのは、あまりなく、「やっぱり…」という妙な納得があったということを正直に書いておこう。
下村誠と数限りない関わった人々の中で、私もまた非常に特殊なところで深く深く彼と関わっており、他の誰とも違う場所から下村という人をずっと見続けていた者として、私にはそういう権利があると思う。

だって下村さんを個人的に好きだとか、その音楽がすばらしかったた、などという感想は彼が死んだ今となって、ネットにはいろいろと出始めているようだけど、その中の誰一人として、彼の音楽業績をまとめて一冊の本にしようなんてことは考えもしなかったでしょう。とりあえず95年の時点て俺(と鈴木くん)はそれをしたわけだから。

そしてふと考えてみれば、いまだに私は「下村誠ホームページ」の管理人でもあるのであった。というわけで、今回の知らせを聞いてあらためて、現在最新情報を流しているサイトへのリンクを貼るとともに、長くトップページに紹介は載っていたものの、作品リストには掲載していなかった最新(つまり最後の)アルバム「風待ち」をソロ作品リストに加えた次第であった。(あらためて見れば、このホームページ自体、GUの特集以後の下村誠の業績と文章をまとめているという意味で貴重な資料であろう)

しかし、自分が管理人と、いまさら思い出すのもバカな話なのだが、実はこのサイト、私の仕事が忙しくなってきたところで、下村さんのとある知人に管理を委託していたのである。その時点で私は管理人を降りたつもりになっていた。が、そのとある方がその後更新した形跡はまったくなく、2003年のナッティニュースを私が代筆してのせたのが最後の更新となっていた。吉本有里のアルバムが9月10日に完成したという記載があるので、2003年9月が最後の更新だったのだろう。その当時の記録をさぐってみれば、2004年の3月に下村さんが私の事務所に来所しており、その時にホームページの引き継ぎを行っている。ただ私もそれでホームページが順調に更新できるのか不安があったので、下村さんが自分で更新できるブログをその場で作成し、その後は下村さんが携帯電話からそのブログを更新するようにはなっていた。

スナフキンの歌旅日記
http://blog.drecom.jp/nattymomo/

このブログもそれほど頻繁にではないが、2004〜2005年にかけては、吉本有里とのツアーについての記事がいくつか掲載されている。それが2005年の10月でぷっつりと終わっている。

この2005年10月の書き込みはアースガーデンでのライブ告知で、これは同じ文章が携帯からのメールでも送られて来ていた。
私にとってはこれが下村誠の最後の文章である。

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今年もアースガーデンのナッティステージをやりますよ〜!!

10月22〜23日 代々木公園B地区 クラフトガーデンのひょうこまブースを探して来てください。その隣りにナッティステージが建ってます。

出演:ギターパンダ,ヤマザキヤマト,タンパロン,makoOTOkengo(下村誠+OTO+吉田ケンゴ),ウズマキ,矢野ただし,さっちゃん&スグル,ゆめやえいこ,なかもと大サーカス,トゥクトゥクダッシュ


ちなみにmakoOTOkengoは23日(日曜日)の14:00からの出演です。

お友達を誘って来てくださいね。

待ってま〜す!

下村 誠
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いかにも下村らしい明るい文章で、アイタルの吉田ケンゴさんとまた一緒にやっているというところが、ずっと下村誠を見て来たものからすると、なんとも心地よい「ホームグランド」という感じがする。
また久々に吉本有里とのツアーの話題ではない、下村本人のライブ告知であるということもあった。

それ以降の下村さんの足跡はその吉本さんのブログ「愛の花」でしか見ることができなくなる。

そして、少しずつ下村誠は消えていって、死んだという知らせが入って来たのだ。それが冒頭に書いた妙な納得感となっている。

しかし今は実際にその「死」というものを考えてみると、それがなんだったのか、ということが非常に心にひっかかりはじめている。下村を知る多くの人にそれが衝撃だったのとはまったく違う意味で、そして彼の死を美化するのではなくして、どうして彼がそのように「消えて」いったのかをきちんと知っていたい気がする。先に書いたように俺(と鈴木くん)だけが、下村誠の音楽についてまとまった文献を作ったのだから、それは俺たちに与えられた使命でもあると思う。

追記

ネット上に再録した私自身の「下村誠」論はこちら
下村誠の「精神」世界

これは「GU」の創刊準備号に書いたものの再録。
前のエントリーで「GU」は3冊で終わったと書いたが、正確にはこの「準備号」というのがあったので、四冊出しているわけだ。
創刊号で下村誠特集をやるということは決めていたので、その露払いという意味で書いたもの。結局のところ、その後、ほとんどまとまった「下村誠論」というのは書かれることがなく、これ以外には創刊号特集に掲載した村田博さんのものしかないのではないだろうか。私のはさておいて、村田氏の下村論は必読。読みたい方はお問い合わせください。
by hirumas-omelet | 2006-12-15 11:17 | 臨場哲学の辺縁
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